あまり大きな声では言えないが、私は更年期のイライラで、家族に当たってしまう日がある。
これまでは軽く受け流す余裕みたいなものがあったのに、47歳のいま、理由のないイライラが不意に襲ってくる。
本当に、どうでもいいことがきっかけになる。
たとえば、夫がゴミ出しを忘れる。それだけのことなのに、「なんでこんな簡単なこともできないのか」と思う。
思うだけならまだいい。
そのまま、「あなたって本当にだらしないよね」と言いかける。正確には、ほぼ言っている。
言ったあとで、空気が冷める。幸せな家族の雰囲気とはかけ離れ、さーっと柔らかい空気が引いていく。
自分でも「やりすぎた」と分かる。
でも、その瞬間は止められない。
子どもが楽しそうに笑っている声が、妙に耳につく日もある。うるさいわけじゃないのに、神経に触る。
一瞬だけ、睨む……。たぶん顔に出ている。
そのあとで、そんな自分の顔を想像して、さらに気分が悪くなる。
これを誰にも言えずに、ひとりで抱えている人は多いと思う。少なくとも、私はそうだった。
これは性格ではなく、更年期の症状だった
最初は、自分の性格が崩れてきたのかと思った。
でも更年期に入ると、女性ホルモンの変化で自律神経や感情のコントロールが乱れるらしい。つまり、「イライラしやすい状態」がデフォルトになる。
仕様変更としては、だいぶ不親切だと思う。自分で言うのも何だが、私は落ち着いた女性であった。なのに、このギャップ……。なんか悲しい。
ただ、イライラの原因が分かっても、ラクになるわけではない。
やっぱり、腹は立つし、言葉も出る。知識はあるのに止められない感じが、むしろ厄介だ。
閉経前の不調は、全部つながっている
夜中に目が覚めることがある。3時とか、4時とか……。微妙な時間で、そこから眠れない。
寝ようとすると、変な不安が出てくる。昔の……どうでもいい失敗とか、嫌な思い出とかを急に思い出す。
そうすると、朝がだるい。
だるいまま一日が始まって、どうでもいいことでイライラする。急に体が熱くなることもあるし、動悸もある。
これ全部、更年期で説明がつくらしい。便利だけど、うれしくはない。
正直、「ちゃんとした対処法」は効かなかった日もある
深呼吸。
距離をとる。
感情を言語化する。
一通りやった。でも、効かない日は全部効かない。
深呼吸しながら普通に怒っていたし、距離をとっても、頭の中では会話の続きをやっている。
むしろ、より的確な悪口を考えていたりする。
「そんなことで、どうにかなるなら苦労しない」というのは、だいたい合っている。
それでも、被害を減らす方法はあった
完全に止めるのは無理でも、「これ以上ひどくしない」ことはできる。
とにかく離れる(会話を強制終了する)
これは気持ちの問題ではなく、物理の話だ。
その場にいると、余計な一言を足す。しかも、的確に刺さるやつを選んでしまう。
だから途中でもやめる。感じが悪くてもやめる。
相手にトドメをさして、戦闘不能にするより、興奮状態のまま放っておいて、後で修復するほうが、まだましだから。
寝る。でも、きれいには寝られない
「あきらめて寝る」と言うのは簡単だけど、実際はそんなにきれいな話ではない。
寝ても途中で起きるし、変な夢を見るし、朝はだるい。しかも、やり残した家事はそのまま残っている。
翌朝キッチンを見ると、普通に荒れている。それを見てまた少し機嫌が悪くなる。
でも、それでも寝たほうがましだった。寝なかった日は、もっとひどいから。
これは前向きな選択ではなく、消去法で残ったほうを選んでいる感じだ。
食べるものを変えた(ここは、はっきり差が出た)
これは最初、疑っていた。
でも大豆製品を増やしたり、エクオールのサプリを試したりしてみたら、「爆発する頻度」が明らかに減った。
ゼロにはならない。でも、前よりましが続く。
この「まし」が積み重なると、生活が変わる。たとえば、無駄に誰かを傷つける回数が減る。
それだけで、だいぶ違う。
更年期は「我慢」じゃなくて「被害管理」だった
これは、乗り越えるものではないと思った。うまくやり過ごすものでもない。
もっと現実的な言い方をすると、被害をどこまで抑えるかの話だと思う。
自分も、周りも。
完全に穏やかになる日は、来ないかもしれない。でも、「最悪」を減らすことはできる。
それで十分な日もある。
閉経しても、終わるわけではない。ただ、別のものになる
更年期とか閉経という言葉には、どうしても「終わり」の感じがついてくる。実際、若い頃と同じではいられない。
それはもう、どうしようもない。
ただ、最近ひとつだけ思うことがある。前より、他人に合わせなくなった。合わせる必要がないと思うようになった。
無理なものは無理と言うし、疲れているときは、ちゃんと顔に出る。
感じのいい人ではなくなったかもしれない。でも、その代わり、自分を大切にするようになった。
その結果、残る人間関係もある。減るものもあるけれど、残るものも、ちゃんとある。
だから、これは「終わり」ではない。ただ、選別されているだけだと思う。
それを良いとするかどうかは、まだ決めていない。
でも少なくとも、前より嘘は減った。
それだけは、確かだ。


コメント