夜中に、急に目が覚める。
自然に起きるんじゃない。なんというか、中から起こされる。
体の奥で、勝手にスイッチが入る。そして、一気に熱が上がる。
首の後ろがむわっとして、背中がじっとりして、パジャマが肌に貼りつく。
気持ち悪い……。
なんか逃げ場がないような気がしている。
布団をはいでも、空気に当たっても、自分の中で熱が作られている感じがして、どうにもならない。
まるで、自分の体に閉じ込められているみたいだと思う。
「何これ」と思う。
でも、答えは出ない。ただ、これがまた来るんだろうな、という予感だけが残る。
夜中の不安は、静かでも優しくもない
目が覚めたあと、眠れない。
体は疲れているのに、頭だけが動いている。
昔のことを思い出す。どうでもいい場面。どうでもいい一言。
そのときの自分の顔とか、声の感じとかが妙にリアルに浮かぶ。
消えない。
「なんであんなこと言ったんだろう」とか、今さらどうにもならないことを考える。
そのうち、方向が変わる。
この先どうなるんだろうと……そのまま、気分が落ちていく。このまま、体も気力も落ちていって、何も残らなくなるんじゃないか、という不安。
暗い部屋の中で、それだけがやけに現実っぽい。
昨日までの自分と急に変わった気がする
朝になっても、回復していない。寝た気がしない。体が重い。
駅の階段が、やたら長く感じる。
昨日は普通に上がれたのに、今日は途中で一回止まりたくなる。
たったそれだけのことなのに、妙に引っかかる。
「あれ?」と思う。その「あれ?」が、そのまま残る。
昨日までの自分の感覚が、そのまま使えなくなっている感じ……。
一つ一つは小さいのに、積み重なると、はっきり違う。
説明はつく。でも、納得はできない
こういう変化は、私くらいの年齢になると訪れる『更年期』によるものらしい。
更年期とは、体の中のバランスが変わる時期で、いろいろな反応が出る。
それは分かる。
でも、それで終わりにはならない。じゃあ、この不快さはどうするのかと思う。
この熱も、この眠れなさも、この妙な不安も。
全部まとめて「そういう時期」と言われても、「はいそうですか」とはならない。どちらかというと「本当にそうなのか」と思う。「どこかおかしいんじゃないか」とも思う。
その両方が残る。
それでも、ただ壊れていくつもりはない
夜中にまた目が覚める。
汗をかいて、熱を抱えて、どうしようもない不安の中にいる。
正直、気分は悪い。体も信用できない。
でも、それでも思う。
このまま何もせずに流されるのは嫌だ。
たいしたことはできないけど、何もやらないまま終わるのも違う。
次の日、どうせしんどいのは分かっている。
それでも、とりあえず起きて、顔を洗って、外に出る。
機嫌が悪いままでもいいから、動く。
ちゃんと元に戻ろうとは思わない。
でも、この状態のまま、自分の生活は続ける。
まだ終わったとは決めない
うまくやる気はない。でも、やめる気もない。
明日の朝、また重い体で目が覚めたら、「またか」と毒づきながら、一番お気に入りのコーヒーを淹れてやろうと思う。
『終わった』と決めるには、まだ、あまりにも早すぎる。

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